94年という歳月を生きておりますと、国の舵取り役が交代する光景は、それこそ数えきれないほど目にしてまいりました。
その度に世間は騒ぎ、新しい時代が来ると期待に胸を膨らませる。
ですが、ワタクシの目には、多くの場合、劇場の看板が掛け変わるだけに映ります。
石破総理の辞任表明も、ワタクシに言わせれば、国民生活の疲弊をこれ以上放置できなくなった、当然の帰結に過ぎません。
テレビの向こうでは、自民党内の権力争いが喧しいですが、本当に問われているのは、その椅子に誰が座るかではありません。
日本の経済と安全保障という、ワタクシたちの暮らしそのものの行方です。
少しばかり、ワタクシの考えをお話しさせていただきましょう。
これからの政治日程
石破総理は、2025年9月7日に総理大臣および自民党総裁の辞任を正式に表明しました 。
この辞任は、アメリカとの関税措置への対応に区切りがついたことや、党内分裂の回避が主な理由とされています 。
その後、自民党は臨時総裁選挙の手続きに入り、9月22日に告示、10月4日に投開票という日程で実施されます。
この総裁選は、国会議員票と全国の党員・党友票が同数となる「フルスペック型」方式で行われることが決まっています。
新総裁は、この後に召集の臨時国会で首相に指名され、新内閣が発足する見込みです 。
石破総理は、新首相が指名されるまで、総裁選の手続きや政務の引き継ぎなど、一定期間は職責を果たす予定です 。
自民党総裁選挙の予想と私の懸念
次期自民党総裁選の有力候補としては、高市早苗氏、小泉進次郎氏、茂木敏充氏、林芳正氏らが挙げられています 。
現在の情勢では、高市早苗氏が党員票で優勢となる可能性が高いと見られています。
高市氏の政策は「保守的・財政堅守派」を旗印に掲げ、強硬かつ伝統を重視するのが特徴です。
特に安全保障においては強硬派であり、経済安全保障と防衛力強化に積極的な姿勢を示しています。
もし高市早苗氏が総理大臣になった場合、その安全保障における強硬な姿勢と、国民民主党や参政党といった保守系野党との連立の可能性が出てきます。
日本が「軍拡路線」に突き進むのではないかという深刻な懸念を抱かせます。
私たちは、平和憲法を持つ日本が、さらなる軍拡競争に巻き込まれていくことを強く危惧します。
また、自民党は総裁選でダラダラとメディアジャックを行い、国民世論を操作しようとしているのではないかという危惧があります。
例えば、高市氏を首相にして、「初の女性総理大臣」などとマスコミを挙げて情報操作し、自民党政治の延命を図るというシナリオも考えられます。
次期総裁選の顔ぶれと、拭えぬ懸念
次期総裁の有力候補として、高市さん、小泉さん、茂木さん、林さんといった方々のお名前が挙がっています。
中でも高市さんは党員からの支持が厚いと聞きます。
高市さんの政策は「保守」を旗印に、特に安全保障と防衛力の強化に積極的な姿勢を示しておられます。
言葉だけを聞けば、頼もしく聞こえるかもしれません。
ですが、ワタクシたち昭和一桁世代にとって、「防衛力の強化」という言葉は、別の響きを持って聞こえるのです。
ワタクシが女学生だった頃、「国を守る」という美しい言葉のもと、学徒動員で工場に通い、空腹に耐えながら軍需品を作った日々を思い出します。
鉄や銅だけでなく、家庭の鍋釜まで供出し、最後にはお寺の鐘まで兵器に変えられました。
国民のささやかな暮らしを削って作られた兵器が、果たして国民を守ったでしょうか。
むしろ、多くの若い命を奪い、国土を焦土に変えただけではなかったか。
もし高市さんが総理大臣となれば、その勇ましい政策は日本を再び「軍拡路線」へと突き進ませるのではないか。
平和憲法を持つこの国が、再び終わりなき軍拡競争に巻き込まれていく未来だけは、断固として避けねばなりません。
こんなワタクシの心配が杞憂に終わることを願います。
またメディアジャックがはじまるかも
また、自民党はこれからメディアを賑わせ、来る総裁選をまるで国民的なお祭りのように演出し、
「初の女性総理」といった話題性で、政治の本質から目を逸らさせようとするかもしれません。
ワタクシはそれを「目くらまし」と呼びたい。
情報が巧みに操作され、国民が熱狂のうちに本質を見失った隙に、政治の延命が図られる。そんなシナリオも、十分に考えられるのではないでしょうか。
野党に求められる「大同団結」という選択肢
今の自民党は、衆議院で単独過半数を維持できていません。
つまり、安定した政権運営のためには、野党との連携が不可欠。高市さんが総理になれば国民民主党や参政党と、
小泉さんであれば日本維新の会と手を組む可能性が囁かれています。
結局は、政策の一致ではなく、数合わせの談合に終始するのでしょう。
ですが、れいわ新選組の山本太郎さんも仰っていますが、今の自民党では誰が総理になろうと、
国民の利益より特定の勢力への「しがらみ」が優先され、経済政策の根本は変わらないでしょう。
この「しがらみ」とは、すなわち大企業や業界団体からの献金であり、組織票です。
国民一人ひとりの小さな声は、そうした大きな声にかき消されてしまう。
この状況を打破するには、ただ一つ。
「消費税の減税・廃止」という、国民の生活に直結する一点で野党が結束し、真に国民を守る政権を樹立する道を模索すべきです。
日本共産党もまた、裏金問題や物価高騰に無策であった自民党政治そのものを終わらせるべきだと主張しています。
ワタクシは、政策の細かな違いを乗り越え、国民の生活を守るという共通の目的を持った野党がまとまることを、強く望みます。
それは決して夢物語ではないはずです。
私は、このような状況を打破するため、消費税減税・廃止を旗印に野党が結束し、真に国民を守る政権を樹立する道を模索すべきだと考えます 。
れいわ新選組は単独で政権を目指しているわけではなく、消費税廃止という共通の目標を持つ野党が協力して政権交代を目指すことを重視しています 。
日本共産党も、石破総理の辞任は当然としつつも、「自民党全体の責任」が問われていると指摘し、裏金問題、物価高への経済無策、
そして「アメリカ言いなり」の大軍拡路線が国民からの厳しい審判を招いたとし、「自民党政治そのものを終わらせる方向」を目指すべきだと主張しています。
共産党は、日本維新の会が予算に賛成に回り、国民民主党が企業団体献金禁止の緩和で自民党を助けたことを例に挙げ、
これらの政党を「本当に自民党政治を終わらせる立場に立つ野党」とは見ていないと批判しています 。
ワタクシは、自民党内の権力争いに終始するのではなく、消費税減税・廃止など、国民の生活を守る具体的な政策を共有する野党がまとまることを強く望みます。
未来は、ワタクシたちの手の中に
石破総理の辞任は、自民党政治の限界を改めて浮き彫りにしました。
自民党総裁選のメディアジャックや「初の女性総理」といった情報操作に惑わされることなく、
ワタクシたちは早く臨時国会を開き、消費税減税やガソリン税減税など、国民の生活を直接救うための具体的な政策を実行するよう、政治に強く求めていくべきです 。
自民党に日本の未来を任せるのではなく、消費税減税・廃止を求める野党がまとまり、新しい政治を実現する道を、今こそ国民が模索していきましょう。
「踊り子が変わっても振り付けは一緒」という状況を、これ以上許してはなりません。
メディアの情報操作に惑わされることなく、一日も早く臨時国会を開き、消費税やガソリン税の減税といった、具体的な政策を実行するよう強く求めます。
そして選挙では、真に国民の生活を考える「政治家を育てる」という意識を持つこと。
自民党に未来を委ねるのではなく、新しい政治の実現に向け、今こそワタクシたち国民が行動すべき時が来ています。
戦後の焼け野原からこの国を復興させた、あの底力を思い出す時です。
最後の一句
椅子取りの 騒ぎ虚しく 秋の空