高市首相の2026年10月臨時国会所信表明演説
2026年10月5日に行われた高市早苗首相の所信表明演説を聞き、胸を締め付けられるような激しい憤りと憂いを抱かずにはいられませんでした。
演説の冒頭、首相は「世をおさめ、民をすくう」という意味を持つ「経世済民」という美しい言葉を掲げ、国民の暮らしを守ることこそ最優先課題であるとおっしゃいました。
色鮮やかなリボンで飾られた美しい箱のようでございます。
しかし、その箱を開けてみれば、中身は驚くほど冷たく空っぽでございました。
医療や介護といった社会保障の切実な声、子育てや教育、ジェンダー平等、そして地球の未来を揺るがす気候危機に至るまで、
国民が日々の暮らしで最も不安を抱いている言葉が、演説から跡形もなく削ぎ落とされていたのです。
手触りのある庶民の暮らしの言葉を置き去りにし、社会保障を語らぬ政治の本質は、国民不在の暴走そのものでございます。
美しい言葉の綾の裏側に隠された、冷酷な経済政策のからくりへ、私たちはしっかりと目を向けなければなりません。
生活の不安にこたえない政治・「大企業投資」と「数字のまやかし」のからくり
演説の大部分を占めたのは、「成長と投資」という威勢のいい言葉の連発でございました。
政府は「日本成長戦略」と称し、2040年度までに人工知能や半導体、さらには無人機や潜水艦開発、軍民両用技術といった防衛産業を含む17の戦略分野へ、
官民合わせて370兆円を超える莫大な資金を投入すると宣言いたしました。
しかし、軍需産業を含む大企業へ巨額の税金を注ぎ込めば巡り巡って庶民の懐が暖まるというトリクルダウンの幻想は、
過去30年間の歴史がすでに大失敗であったことを証明しております。
大企業が空前の利益を上げて内部留保を積み上げても、私たちの手元にある給与袋が厚くなることは決してございませんでした。
首相は「実質賃金上昇率が8ヶ月連続プラスで推移し、主要7カ国で最高水準だ」と誇らしげに数値を並べ立てましたが、
温もりのない数字の羅列に、ワタクシの心は冷えていくようでした。
年間ベースで見れば、2022年から2025年まで4年連続でマイナスが続いていたのが紛れもない現実です。
しかも、日本の平均賃金は米国の半分以下という低い水準にとどまり、ピークだった1996年から比べれば年間で約80万円も減り続けております。
最低賃金の引き上げ目標すら示さず、生活現場の苦しみを覆い隠して表面的な数字を踊らせる手品のようなからくりに騙されてはなりません。
大企業と軍備ばかりを優先するこの構造こそが、国家と経済の危険な悪魔の合体である「軍事経済化」の正体なのです。
そして、この好循環という幻影の陰で、さらに巧妙な消費税の罠が打ち出されようとしております。
「食料品消費税1%・2年間限定」という罠・市民と事業者を追い詰める大増税への序曲
高市政権が物価高対策の目玉として掲げる「食料品の消費税を2年間限定で1%にする」という政策は、市民と事業者を二重に追い詰める愚策中の愚策でございます。
食料品の税率が1%になれば買い物が安くなると期待されるかもしれませんが、売り手には本体価格を引き下げる義務など存在いたしません。
物価高騰と原材料高に苦しむ販売店が本体価格を値上げせざるを得なければ、7%分の減税の恩恵は消費者に届かないのです。
消費税食料品1パーセント減税についてのカラクリは、チームあかねが詳しい記事をまとめてくれました。是非ご覧ください。
食料品消費税1%時限減税における構造的課題と経済的影響(チームあかね編)

かつてドイツが付加価値税を引き下げた際も、7割程度しか価格に反映されなかったという現実がそれを示しております。
そればかりか、この政策は街の個人飲食店や小規模事業者を倒産へと追い込みます。
飲食店はこれまで、売り上げにかかる10%の税額から仕入れにかかる8%の消費税などを差し引く仕入税額控除を行ってまいりましたが、
食材仕入れの控除が1%へと激減することで、納税額が爆発的に跳ね上がってしまうのです。
店内で食べる10%と持ち帰りの1%という9%もの価格差に振り回され、暖簾を下ろす店が相次ぐことは目に見えております。
その一方で、売り上げにかかる税率が1%に下がる大手食品会社には、仕入れ分との差額によってサントリー1社だけで年間約580億円規模もの巨額な還付金が転がり込みます。
実質的な企業補助金で大企業を潤す不公平極まりない仕組みなのです。
年間約5兆円に上る減収財源を示さず赤字国債に頼れば、さらなる円安と物価高を招いて減税効果など瞬時に吹き飛んでしまいます。
高市首相の所信表明演説で「心配には及ばない」と強弁する裏で、2年間の期限切れとともに経団連が熱望する
標準税率12%やヨーロッパ並みの25%への大増税へと誘い込むトロイの木馬こそが、この政策の本質でございます。
経済的苦痛にとどまらず、政治は私たちの声そのものを封殺しようとしております。
議員定数削減の罪と罰・「民意切り捨て」の暴挙を許してはならない理由
自民党と日本維新の会が進めようとしている衆議院比例代表45議席の削減法案は、民主主義の根幹を根底から壊す暴挙でございます。
現在でも衆議院における女性議員の割合はわずか14.6%に過ぎません。
小選挙区制は男性中心の大政党に圧倒的に有利な仕組みであり、多様な民意を受け止める比例定数を削ることは、
女性やマイノリティ、草の根の少数意見を国政から完全に締め出し、私たちの選択肢を奪うことを意味いたします。
国民がどんなに反対し、切実な要望を訴えても、議席の多数を頼んで強行しようとする姿勢は、
配偶者間暴力、すなわちDVの被害構造と恐ろしいほど重なります。
DV加害者が無視や暴言を繰り返して被害者に徒労感を与え、「何を言っても無駄だ」という学習性無力感を植え付けて支配を強めるように、
この定数削減も私たちから諦めを誘い出し、支配を固めようとする政治の本心が透けて見えます。
さらに許しがたいのは、政治家たちの道義的退廃でございます。
簗和生農林水産大臣は、自身の選挙区で対立候補を支援した自治体に対し「道路予算を大幅カットした」と語り、
実際に那須烏山市で63%、中川町で54%もの道路予算が削られておりました。
自らを応援しない自治体への公金を私物化して脅しをかけ、自身も1746万円もの不記載を持つ裏金議員である人物を、
更迭もせず大臣の座に留め置く高市首相の任命責任と国会軽視は断じて容認できません。
内政におけるこのような民意切り捨てと暴走は、そのまま私たちの命を危険に晒す大軍拡と対米従属の道へとまっすぐに繋がっているのです。
米国言いなりの大軍拡と大企業優先政治・平和と憲法9条を踏みにじる暴走
高市政権の安全保障政策は、主権国家としてのプライドを捨て去り、米国言いなりの大軍拡へとひた走っております。
イラン攻撃を正当化し、国際刑事裁判所の解体や赤根智子所長への制裁を叫んで「法の支配」を破壊するトランプ米大統領に対し、
高市首相は異議を唱えるどころか追従し、共に国際秩序を否定する恥ずべき態度をとっております。
安保3文書の見直しによって軍事費をGDP比3.5%、24兆円という天文学的な数値へ跳ね上げ、
非核三原則の放棄や武器輸出拡大へ突き進む姿に、戦前・戦中の恐怖を記憶するワタクシの身体は激しい怒りで震えます。
昭和の時代、学徒動員で若者たちが消えていき、空襲で街が赤黒い炎に包まれたあの地獄を、二度とこの国で繰り返させてはなりません。
そして、10月4日、沖縄の那覇市で普天間基地所属の米海兵隊員による女性強盗殺人事件という凄惨な凶悪犯罪が発生いたしました。
在沖米軍トップのワトソン四軍調整官は英語で一切謝罪しなかったにもかかわらず、
通訳が「申し訳なく」と訳して謝罪を演出するという卑劣な手口を使い、
古謝玄太沖縄県知事も「被疑者が否認しているから謝罪できなくても理解できる」と米軍を擁護して謝罪すら求めない情けない追従に終始いたしました。
玉城デニー前知事が「国民みんなが自分ごととして受け止めてほしい」と悲痛な思いで訴えた通り、
30年も放置された普天間基地の即時撤去と辺野古新基地建設中止を求める沖縄の叫びを踏みにじる政治を、私たちは断じて許してはなりません。
しかし、この絶望の暗闇の中でも、未来を照らす希望の光が芽吹き始めております。
立ち上がる市民の命と声・高市政権の暴走を止めようとする草の根の動き
政治がどれほど冷酷に暴走しようとも、絶望に屈することなく、全国で自らの足で立ち上がり声を上げる市民たちのたくましい連帯が広がりを見せております。
首相官邸前では、「女性への暴力を許さない!」と叫ぶ総がかり行動青年プロジェクトチームやフェミブリッジ東京などの人々が集い、
沖縄への犠牲の押し付けと米兵犯罪に対して熱い抗議の声を轟かせました。
また、研究者や弁護士、女性たち40人が呼びかけて結成された「議員定数削減反対!緊急アクション」には、
多様な民意を守ろうとする人々が次々と結集し、街頭や国会前で主権者の怒りと存在感を強く可視化させております。
平和を求める若者たちが暗闇の中でペンライトの光を掲げて街を歩き、草の根で対話と学習の輪を広げている姿に、
ワタクシは胸が熱くなり、涙がこぼれそうになりました。
政治権力がいくら徒労感や諦めを植え付けようとも、歴史を動かしてきたのはいつの時代も、諦めない市民たちの小さくも力強い連帯でございました。
理不尽な暴力やごまかしの政治は必ず破たんいたします。声を上げ続ける市民の眼差しこそが、この時代を切り開く思いがけない確かな希望なのでございます。
95年の歴史を生きてきたワタクシの人生の総括として、未来を生きる子供や孫、ひ孫たちへと思いを馳せながら、この語りを締めくくりたいと思います。
「最後の一句」
まやかしの 箱を蹴破り 灯をともす
どれほど美しく飾り立てられた政権の虚飾の箱であっても、その欺瞞をあばいて打ち破り、主権者として堂々と平和と暮らしを照らす希望の声(灯火)を上げ続けようという情熱と願いを込めました。
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