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みなさん、こんにちは。あかねです。
昭和6年生まれの94歳、名古屋で穏やかに暮らしているワタクシが、今日も中東の戦争を考えます。
ワタクシが生まれた1931年——それはちょうど満州事変が起きた年でした。
それから94年。
日本の空襲も、戦後の混乱も、オイルショックも、全部この身体で通り抜けてきました。
だからこそわかるのです。「軍事組織が国民を守らなくなったとき」の怖さを。
2026年の今、中東では信じがたいことが起きています。
『ニューズウィーク日本版 2026年3月24日号 特集:イラン革命防衛隊』という雑誌を読みました。
『ニューズウィーク日本版 2026年3月24日号 特集:イラン革命防衛隊』

あまり日本では詳しい報道がありませんけど、「イラン革命防衛隊(IRGC)」という組織を御存じでしょうか。
イランを理解するのに必要だと思いましたので「チームあかね」に調べてもらいました。
チームあかねのまとめた記事はこちらです。
イラン革命防衛隊:国家内国家としての進化と中東秩序への影響(チームあかね編)

ニューズウィークの記事とチームあかねの記事とあわせてお話しします。
「国家の中の国家」——その正体とは
まず一番大事なことをお伝えしましょう。
イラン革命防衛隊(IRGCと呼びます)は、ふつうの「軍隊」ではありません。
ワタクシ流に例えるならば——会社の中に、社長より強い「影の取締役会」が居座っているようなものです。
表向きは「お国のため」と言いながら、実際は自分たちの「体制」を守るためだけに動いている。
なにか、かつての日本のようです。
3つのキーワードで整理しますね。
①体制の守護者——国を守るのではなく、「最高指導者とイスラム革命体制」を守るためだけに存在するイデオロギーの軍。
②巨大経済コングロマリット——イランのGDP(国の経済規模全体)の、最大で半分を支配しているといわれます。インフラ工事から銀行、果ては暗号資産(ビットコインのようなもの)まで、経済の太い血管のほとんどを握っている。
③破壊のドクトリン——2026年の湾岸攻撃では、空港だけでなくAmazon Web Services(世界中の企業が使うクラウドコンピュータの巨大な倉庫)まで意図的に壊した。現代の「見えないインフラ」を標的にする、新型の戦争です。
この組織の「種」が蒔かれた1979年
IRGCが生まれたのは1979年——ワタクシが48歳の頃でした。
イランでは「イスラム革命」が起き、ホメイニという指導者が権力を握りました。
彼には一つの恐怖がありました。
「正規の軍隊がクーデターを起こして、自分を倒すかもしれない」——その恐れから、正規軍とは別に、体制にだけ忠実な「もう一つの軍」を作ったのです。
その後、1980年代のイラン・イラク戦争を経て、この組織は独自の陸・海・空・ミサイル部隊、さらには「クドス部隊」という国外工作部隊まで持つようになりました。
終戦後は、復興工事のビジネスに参入し、やがて経済の怪物へと変貌していったのです。
正規軍との違いをわかりやすく図解するとこうなります。
| 正規軍 | 革命防衛隊(IRGC) | |
|---|---|---|
| 忠誠の相手 | イランという国家 | 最高指導者・革命体制 |
| 主な仕事 | 国境を守る | 体制保護・ミサイル開発・国外工作 |
| 予算 | IRGCの半分しかもらえない | 国家予算の特権的配分 |
まるで同じ会社の社員なのに、給料も権限も2倍も3倍も違う——そんな理不尽な構造が何十年も続いてきたのです。
経済を食い荒らす「寄生体」の実態
さて、ここからが驚くべき話です。
IRGCの経済帝国の中心は「ハタム・アル・アンビヤ(KAA)」という建設グループで、800社以上の企業を傘下に置く中東最大級の巨大組織です。
ダムも道路も通信も、政府の工事はほぼ独占しています。
でも——ここが肝心なのですが——効率が極めて悪いのです。
たとえば、天然ガスの生産。イランには世界有数のガス田(南パルス・ガス田)があります。
隣国カタールと同じガス田を共有しているのに、IRGCが牛耳るイラン側の生産効率は、カタールより著しく劣っています。
独占しているから競争しない。競争しないから技術が育たない。まるでぬるま湯の中で肥え太るだけの存在です。
他にも——
🔵 通信・監視:イラン通信会社を通じて国民を監視する社会を構築。
🔵 暗号資産(仮想通貨):国際制裁を逃れるためビットコイン等を使った組織的なマネーロンダリング(お金の洗浄)。
🔵 「水マフィア」と環境破壊:利権のためのダム建設を乱発した結果、ウルミア湖はかつての面積の80%以上が消えました。かつて碧(みどり)に輝いていた湖が、今は干上がった白い塩の平原と化しています。回復は不可能といわれています。
🔵 密輸の帝国:公式検疫を受けない「見えない港」を使い、燃料・麻薬・酒類を年間2兆5000億円から3兆円相当も密輸しているとされています。
2026年、ついに「空の主権」を失ったイラン
ワタクシが一番衝撃を受けた事実をお話しします。
2025年夏の「12日間戦争」で、IRGCが巨額の費用をかけて導入したロシア製の防空システム(S-300)が、イスラエル軍の攻撃に対してまったく機能しなかったのです。
「最強の盾」と誇っていた防衛網が、紙のように破られた。
その結果、2026年現在、イランの空は事実上、イスラエルや米国の戦闘機にとって「空中の高速道路」と化しています。
自国の空なのに、守れない。これは軍事的敗北以上の、魂の敗北ではないでしょうか。
そして報復として行われたのが、2026年の湾岸攻撃です。
UAEやサウジアラビアに向けてミサイルが放たれ、ドバイ国際空港と、世界中の企業が使うAmazon Web Servicesのデータセンターが標的になりました。
ここで一番悲しいことをお伝えしなければなりません。
この攻撃で亡くなったのは、パキスタン、ネパール、バングラデシュからの貧しい出稼ぎ労働者たちでした。
IRGCは「抑圧された者を守る」と言いながら、世界で最も抑圧された人たちを殺したのです。
言葉を失います。
自国民への「虐殺」——94年の人生でも、これほど残酷な話は
ワタクシ、戦争を経験しています。空襲で焼け野原になった横浜も見ました。食べるものもなかった時代も知っています。
でも——2026年1月に起きたことは、それとも違う種類の恐怖です。
通貨の暴落に怒ったイラン市民がデモを起こしました。
そのデモに対し、IRGCは実弾を使って鎮圧し、わずか数日間で3万6500人以上の市民を殺害したといわれています。
そして同じ日——インターネットを全国で遮断しました。
情報が外に出ないように。世界が知らないように。
さらに——12歳の少年たちを「戦士」として徴用するキャンペーンまで始めました。
ワタクシが12歳だった頃は、昭和18年。
日本も戦争の真っ只中で、子どもたちが「学徒動員」で工場に動員されていました。
「お国のために」という言葉がどれほど残酷な使われ方をするか、ワタクシは知っています。
歴史は繰り返すのか——それとも、人は学べるのか。
2026年、巨大組織は「崩壊への岐路」に立っている
今のIRGCの状況を整理すると——
- 空の防衛能力:失った
- 国民からの信頼:失った
- 経済の健全性:死のスパイラルに入っている
- 国際的な立場:EUにテロ組織として指定(2026年2月)
この先にある道は二つだけだとチームあかねは分析しています。
一つは「純粋な軍事独裁」への移行。もう一つは、内圧と外圧による「組織の崩壊」。
あかねからのひとこと
94年生きて、ワタクシは一つのことを確信しています。
「国民を守る」という言葉を使いながら国民を殺す組織は、必ず内側から崩れる。歴史がそれを教えてくれています。
でも崩れるまでの間に、どれだけの命が失われるのか——それだけが心配でなりません。
遠い中東の空の下で、今日も誰かが怯えながら夜を過ごしているかもしれない。
そのことを、どうか忘れないでいてください。
最後の一句
十二才 戦士と呼ばれ 春知らず
12歳の少年兵徴用。かつての学徒動員で工場へ働きに行き、横浜大空襲で黒焦げになった友を思う。
