はじめに:九十五年の人生から見える、今週の景色
名古屋の朝、東の空から差し込む柔らかな光が、ワタクシの古い文机をそっと照らし出しております。
庭の木々には、秋を告げる虫の声が微かに混じり始め、静謐な時間がゆっくりと流れております。
ワタクシ、あかね95歳。1931年(昭和6年)にこの世に生を受け、先月、95歳になりました。
あの無残な戦争を、多感な少女時代に経験いたしました。
焦土と化した街の、あの焼け焦げた匂い。
空腹に耐えかね、道端の草を噛み締めた記憶は、80年近い歳月を経た今も、この身の奥深くに刻まれております。
毎朝、少しばかり震える指先でパソコンを開き、「しんぶん赤旗電子版」を読むのがワタクシの欠かせぬ日課でございます。
今の日本、そして世界は、まさに「戦前」に逆戻りするかのような、大きな、そして危うい転換点に立たされているように思えてなりません。
軍拡、改憲、そして国民の困窮を省みない政治。権力が真実を覆い隠そうとする時代だからこそ、
ワタクシは自らの「目」で、この目で、真実を見極めたいのでございます。
今週の紙面をめくりながら、ワタクシの胸はかつてない激動と悲しみ、そして一筋の希望に揺さぶられました。
点と点を繋ぎ合わせれば、私たちの暮らしが今いかなる危機に直面しているか、その「線」がはっきりと見えてまいります。
まずは、この一週間の大きな流れを、ご一緒に振り返ってみましょう。
一週間の歩み:紙面が映し出す日本の現在地
この一週間、私たちの国は自然災害の猛威と、それ以上に過酷な「政治の選択」に翻弄されておりました。
8月31日、福井県を襲った記録的な大雨。勝山市や大野市では統計を取り始めてから最も多い降雨量を記録し、16軒もの浸水被害が確認されました。
坂井市では、水に浸かった道路で30代の女性が足を骨折するという痛ましい事故も起き、
共産党の市議事務所も床上浸水の被害に見舞われました。
自然災害の恐ろしさを前に、命を守るための政治の役割がいかに重ならなければならないかを、ワタクシたちは改めて突きつけられたのでございます。
9月1日、月の始まりに届いたのは、家計を直撃する知らせでございました。
4923品目という、今年最多の食品値上げラッシュ。
まるで台所の棚から、じわりじわりと品物が値札を変えて睨みつけてくるようでございます。
その一方で、防衛省は過去最大となる8兆8908億円もの概算要求を決定いたしました。
中身を見れば、まだ金額を示さない「事項要求」が山のように積み上げられており、
年末には軍事費が10兆円を優に超えることは、火を見るよりも明らかでございます。
暮らしの安全を支える予算は削られ、目に見えぬ「軍事」には青天井でつぎ込まれる。
この歪んだ優先順位こそが、今の日本の現在地なのでございます。
この激動の流れの中で、ワタクシが特に心に留まった三つの物語を、深く掘り下げてお話しさせていただきます。
深掘りテーマ(1):沖縄知事選 — 誇りと平和をかけた「対話」のゆくえ
9月13日の投開票を控え、今、日本で最も熱い民主主義の砦となっているのが沖縄でございます。
玉城デニー知事の三期目をかけた戦いは、まさに「国の奉仕者」か「県民のリーダー」かを問う試練の場となっております。
今週の紙面で、ワタクシは強い寒気を覚えるような事実を知りました。
那覇市での決起集会に、辺野古の事故で亡くなった高校生の写真を掲げた人物が現れ、
デニー知事に対し「人殺し」「詐欺師」と罵詈雑言を浴びせたというのです。
これはもはやヤジの域を超えた、卑劣な選挙妨害でございます。
また、自民党側の古謝候補による、参加費1000円での「飲み放題」集会の疑惑も報じられました。
公正な選挙を金と力で歪めようとする姿勢に、暗澹たる思いがいたします。
中央政治の傲慢さも際立っております。
下地氏の不出馬を巡り、自民党本部が県連を無視して「頭越し」の取引を行いました。
これに関与した鈴木宗男参院議員は「頭越しでもいいではないか」と居直りましたが、
そこに沖縄の民意への敬意は一欠片もございません。
だからこそ、かつて自民党県連会長を務めた照屋守之氏が「絶対に沖縄を戦場にしない」と、
党派を超えてデニー知事の応援に立ったことの重みを、ワタクシたちは噛み締めねばなりません。
那覇市小禄南の91歳の女性の言葉が、今も耳に残っております。
彼女はあの戦(いくさ)の中、北部に避難し、飢えと戦った日々を語られたそうです。
その澄んだ瞳で「平和のためにもデニー知事ですよ」と答えられたとき、
戦後の苦難を生き抜いた者同士の魂が、遠い電波の向こうで静かに触れ合ったように感じました。
沖縄の空が、いつまでも平和であり続けることを祈らずにはいられません。
しかし、目を転じれば、国全体が別の方向へと突き進もうとしております。
深掘りテーマ(2):軍拡の足音 — 「戦争国家」への暴走をどう止めるか
次にワタクシが強い危惧を抱いておりますのは、際限のない軍事費の膨張でございます。
来年度予算の概算要求8.9兆円という数字は、もはやワタクシの知る戦後の平和国家の姿ではございません。
特に「国有施設民間操業」、耳慣れないカタカナ言葉で言えば「ゴコ」という仕組みに、ワタクシは背筋が凍る思いをいたしました。
これは、国が工場という器を持ち、そこで民間の企業が武器を作るという仕組みでございます。
つまり、昭和の記憶にある「工廠(こうしょう)」――兵器をつくるための国の工場の復活に他ならないのではございませんか。
ワタクシも女学校の時に学徒動員で横須賀海軍工廠へ働きに出ておりました。
その時は、日本を守る兵器をつくっていると思い込んでいました。
それが、横須賀や横浜の大空襲で焼け野原となりました。
今、北海道や大分、九州の各地で進む巨大なミサイル弾薬庫の増設は、かつてのふるさとの穏やかな風景を、
他国を攻撃するための拠点へと変貌させる、鋭い「棘」のように、ワタクシの胸に突き刺さります。
この膨大な予算を、私たちの暮らしの尺度で測ってみましょう。
米国から買い入れるトマホークミサイルは、1発7億円。
この1発分の予算があれば、学校の体育館へのエアコン設置(約5000万円)が14校分も可能なのでございます。
5600校の体育館に涼しい風を送る費用と、人を殺めるための一群のミサイル。
どちらが本当に「国民の生命と財産」を守るための投資なのでしょうか。
図に描いてみれば、その天秤の傾き方は、誰の目にも一目瞭然のはずでございます。
千葉の豪雨で浸水し、冷蔵庫などの什器が流された生花店の方が、復旧に1000万円かかると肩を落としておられました。
10兆円もの軍事費がある一方で、こうした市井の苦しみを救う予算はあまりに乏しい。
高市政権が掲げる「経済成長としての投資」が、武器商人たちの懐を潤す一方で、
私たちの食卓は4900品目もの値上げに悲鳴を上げている。
この矛盾を「やむを得ない」で済ませてしまっては、いつか取り返しのつかない場所へと連れて行かれてしまいます。
かつて横須賀海軍工廠で兵器つくっていたとき、あの大空襲で焼け野原となったときのことを思い出さずにはいられません。
深掘りテーマ(3):憲法の輝き — 9条と25条を「命の灯火」として
こうした激流の中で、ワタクシたちが縋(すが)るべき「命の灯火」こそが憲法でございます。
中央社保協の林信悟さんは、軍拡が社会保障を食いつぶしていく構図を鋭く指摘されました。
憲法25条が保障する「生存権」と、9条の「平和主義」は、車の両輪のように切り離せないものでございます。
病床を削減し、高額療養費を引き上げ、身近な薬を保険から外す。
その一方でミサイルを積み上げるなど、本末転倒も甚だしいことでございます。
しかし、希望は各地にございます。
北海道・苫小牧では、安保法制の廃止を求める声が100回目という節目を迎え、
宮崎ではネット交流サービスで呼びかけられた市民たちがペンライトを手に、暗い夜道を照らすように立ち上がりました。
ワタクシには、この一人ひとりの小さな歩みこそが、戦後の焼け跡でワタクシたちが涙を拭いながら手にした、
最も美しい「約束事」を守り抜く意志に見えるのでございます。
憲法は決して古びた紙切れではございません。
それは95年のワタクシの人生を、そしてこれからを生きる幼子たちの未来を照らす、決して消してはならない灯火なのです。
こうした真実を、権力に阿(おもね)ることなく伝えてくれる存在が、ワタクシにはどうしても必要なのでございます。
あかねのお薦め:しんぶん赤旗電子版が繋ぐ「真実と心」
さて、こうした世の中の動きを正確に知るために、ワタクシが毎日頼りにしておりますのが「しんぶん赤旗電子版」でございます。
ワタクシのような戦争を体験した世代にとって、これはまさに「魔法の道具」でございます。
小さな文字が読みづらくなれば指先一つで拡大でき、目が疲れれば「読み上げ機能」でニュースを耳から取り入れることも可能。
切り抜きも、のりやハサミを使わずに保存用のファイルとして残せる手軽さ。
夜中にふと気になった記事を言葉ひとつで探せる便利さは、一度使ったら手放せません。
また、赤旗の魅力は、政治や社会のニュースだけではございません。
今週の、引退を迎え最後までひたむきにバットを振った西武の栗山巧選手の物語。
被爆の記憶を背負いながら「フェアであること」を説き続けたサッカー界の巨星、今西和男さんの記事。
あるいは、入院中の子供たちを笑顔にする「介助犬」のアイビーの健気な姿。
そこには、人間や動物たちの「生きる力」を見つめる、温かい慈愛の眼差しに満ちております。
正直に申し上げれば、今、赤旗は経営的な危機にあると聞いております。
しかし、この良心の声を絶やすことは、日本の民主主義の灯を消すことに等しい。
真実を伝える唯一無二の存在を支えるために、どうか、みなさまもこの機会に赤旗電子版を手に取ってみてはいかがでしょうか。
最後になりますが、今週のワタクシの想いを、五七五の調べに乗せてお届けいたします。
秋の虫 九条守れと 鳴きにけり
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日刊 日曜版 10月1日から27年1月31日まで


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